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先日、東京から照明デザイナーの方がみえられました。 仕事終了後、ささやかな宴席をもうけました。 そのときに、好評だったお話です。 2009/09/09 21:38 「経営者には・なれない」前篇 2009/09/10 23:13 「経営者には・なれない」後篇 それぞれに加筆・訂正・濃縮しました。 ![]() 「かわい!明日の日曜日、ヒマか?」 クラスメートのA君が、私の部屋にやってきました。 30年以上前、私は高3で、学生寮に入っていました。 「明日、バイトしないか? 時給千円 にはなるぜ!」 「おいおい、そんなにもらえるなんて、どんなヤバイ、バイトなんだよ!」 「ちがう、ちがう!ゴルフ場のキャディーのバイトさ!」 「キャディーか…」 当時、函館には数か所のゴルフ場がありました。 そのうちのKゴルフ場でのバイトの誘いでした。 「今晩のうちに、10人見つけないといけないんだよ。サッカー部のS先輩に頼まれたのさ。おばさんがゴルフ場に勤めているんだってさ!」 「ああ、いいよ!」 こんなおいしい話しに飛びつかない手はありません。 次の日の朝早く、ゴルフ場のマイクロバスが寮の前に到着しました。 私たち寮生10人が乗り込みます。 Kゴルフ場まで20分くらいでしょうか。 山の中腹に作られたゴルフ場です。 実はゴルフ、ほとんどわかりませんでした。 18ホールあることくらいはわかりますが、あとは…? ![]() もちろんキャディーの仕事も…。 カートを押していればいいんでしょう? クラブを取ってくれと言われたらどうしよう? 5番アイアン…なぜか覚えていました。 5番があるということは、2番もあるの? いったい何番まであるの? 来なけりゃよかった…。 控室で私たち寮生が不安な面持ちで待っていると、ドアが開き、制服の事務員が入ってきました。 スレンダーな女性です。 美人です。 ![]() 二十代後半くらいでしょうか。 素敵なお姉さまという雰囲気です。 思わず見とれてしまいました。 芸能人の誰かに似ているぞ! そうか、岡田奈々だ! 奈々(勝手に命名)さんは、静かに話し始めました。 みなさん、おはようございます。 今日はみなさんにキャディーの仕事をしてもらいます。 ベテランのキャディーさんになると、お客様のお望みのクラブをお取りすることになりますが、みなさんには、それは無理ですので、そこまでの要求はしません。 勝手にお客様が、バッグからクラブを抜いていきますので心配はありません。 お客様のペースに合わせてカートを押してください。 カートは電動ですので、方向だけ間違わないように押していけば心配ありません。 よろしいですね…。 ほとんど、聞いていませんでした。 美しいお顔の口元を、ずっと見つめていました。 岡田奈々といえば、名曲 「青春の坂道」 です。 バイトの開始です。 私は普通のおじさん4人組のお伴をしました。 奈々さんが説明してくれたとおり、勝手にバッグからクラブを抜いていきます。 とても楽なお客様でした。 でも私は、一度だけミスをしました。 「おいおい、君!そこはグリーンじゃないか!カートを入れたらダメだよ!」 「あっ、すいません!」 「君、グリーンの位置も知らないの?」 「はい…」 「今日の君のバイト代はいくらだい?」 「…3千5百円です」 「じゃあ、グリーンを痛めると、君は今日、ただ働きだな〜アハハハハ…」 ひえ〜、知らないとは恐ろしいものです。 でもホントこの程度の知識しかありませんでした。 そのあとは、慎重にカートを転がしました。 キャディーの仕事が終了し、控室で冷たい麦茶を飲んで、他の寮生たちとダベっていると、いつの間にやってきたのか、私のすぐ横に奈々さんが立っていました。 静かに微笑んでいます。 ホント、岡田奈々に似ているなあ…。 ![]() 「君、なんていう名前なの?」 奈々さんは、私に話しかけて来ました。 「…ボクですか?」 「そう、君!」 かわい君、かわい君、奈々さんの御指名です! 私は、すっかり舞い上がってしまいました。 「かわい君、ちょっと私についてきて!」 奈々さんは、控室のドアを開け、廊下を事務室に向かって歩き始めました。 そして、事務室に入り、ミニソファーに腰を下ろしました。 「かわい君、すわって!」 ミニテーブルをはさんだ反対側のソファーにすわるようにすすめられました。 なに、なにがあるんだろう? 怒られるの? それもいいか…。 ![]() 妄想は膨らむばかりです。 当時、私、17歳! 「さっき、控室で、かわい君の話を聞いていたけど、ねえ君、おもしろいね」 へっ? お・も・し・ろ・い? 「かわい君、おしゃべりだねえ、これ、誉め言葉だからね」 うわ〜、笑顔が、か・わ・い・い! 「君を見込んで、ちょっと頼みがあるんだけど…」 「かわい君!手配師 になってくれないかな?」 手配師!? 「そう、今回はウチの甥っ子に10人集めてくれるように頼んだんだけど、あんまりいい顔しないんだよね。君なら寮に入っているからすぐに集められるでしょう」 そうか、奈々さんって、サッカー部のS先輩のおばさんなんだあ。 こんな若くて美人のおばさんがいたら、最高だなあ…。 「土曜日の夕方、そうね、6時ころに寮に電話するから、バイトする人を集めて欲しいの。だいたいいつも10人くらいだと思うけど…」 「わかりました。お安い御用です」 即答です! 「ありがとう。もちろん紹介料は払うわよ。集める人数によって金額に差をつけるのもメンドウだから、1回3千円でどうかな?」 さっ、さんぜんえん!!! 10人集めるだけで、3千円! ![]() 「もちろん君は、キャディーで3千5百円が別に入るから、合計6千5百円。悪い話じゃないでしょう?」 悪い話どころか、そんなおいしい話があっていいの? 「あのう、ボク、土曜の夕方6時に寮にいないこともあると思うんですが…」 「えっ、そうなの?絶対、いてよ…」 うああ〜、見つめないで…。 「アハハ…冗談よ!何、赤い顔してんの!その時は、だれか別の人に電話に出てくれるように頼めばいいでしょ」 ああ、そうか。 「あのう、ボク、来週から日曜日にチリ紙交換のバイトが入ってるんです。だから、ゴルフ場には来られないんですよ。だからこの話は…」 「あら、そうなの?残念だなあ、君の顔が見られないのは…。でもいいわよ、君は人集めだけしてくれれば…。3千円は、ゴルフ場に来た誰かに預けるから…」 「はい、わかりました」 「ああ、まだ、私の名前言ってなかったわね。これ名刺」 いいえ、あなたの名前は「奈々」さんですよ。 ![]() そんなわけで、私は、思わぬところで収入を得ることとなりました。 本当は、チリ紙交換のバイトを蹴って、毎週奈々さんに会いに行きたかったのですが、「毎度お騒がせチリ紙交換です…」というフレーズを叫びながら町を歩くという経験もしたかったのです。 まあ、1ヶ月もしたら、チリ紙交換の方はやめようかな…。 次の土曜日の夕方、奈々さんから電話が来ました。 「かわい君、げんき〜、明日12人お願いね」 私の手配師、今でいう人材派遣業の仕事が始まりました。 12人は1時間ほどで集まりましたが、それぞれの部屋に声をかけて回るのもメンドウなものがありました。 それに、俺に声をかけてくれなかったとかの不満!急に行かれなくなったときの補充!雨の日は、朝早くにキャンセルの電話が来ることになっているのですが、12人から6人に減らされたときの調整とか…。 結構、頭が痛いことが出てくるなあ…とすっかり先読みしてしまいました。 誰かに、下請けさせよう! ![]() 2回目に奈々さんから電話が来た日は、すべての仕切をひとつ年下、2年生のM君 に任せることにしました。 報酬は、1,000円です。 私は、奈々さんからの電話を受けるだけで、2,000円です。 まあ、M君はキャディーのバイトも確実に約束されるわけですから、悪い話ではないのです。 3回目の時、1年生のT君 が私の部屋にやってきました。 「かわいさん、ちょっとトラブルが発生したんですけど…」 「えっ、なんのこと?」 「ゴルフ場のバイトのことです」 私は話を聞きました。 聞いているうちにT君が、アルバイトのメンバーを集めて歩いていることがわかりました。 「君は、M君に頼まれたの?」 「そうです」 「今日、M君は?」 「ちょっと前に出かけました。何かあったら、かわい先輩のところに行けって言われたので…」 おいおい、無責任なヤツだなあ…。 ![]() でもまあ、1,000円しか渡していないからなあ…。 「君は、人を集めるのに、M君から何かお礼をもらっているの?」 「はい、コーラとポテチ です」 うわ〜、あいつ、せこいなあ。 1年生のT君に、2年生のM君が帰ってきたら、私の部屋に来るようにと伝えて、返しました。 しばらくして、M君がやってきました。 「君は、1年のT君に下請けさせているようだね」 「はあ、さっきまで、ちょっと出かけていましたので…」 M君は、小さくなっています。 「いや、ボクは怒っているわけじゃないんだよ。君に2千円渡すから、誰かに下請けを出すとしたら、千円払ってやんなさい」 「ええ、いいですよ。今までどおり自分で回ったら、2千円はボクのものでいいわけですよね…」 ああ、そうだよなあ…。 今日は、たまたまM君は出かけていただけで、また来週、1年生のT君に下請けさせるとは限らないのか…。 しまった! えい! 男に、二言はない! M君、2,000円で、私、1,000円。 4回目の電話が奈々さんから来ました。 「かわい君、いつもどうもね。あの、私、かわい君に電話かけるのこれが最後になるから…」 え〜!!! ![]() ![]() ![]() 「私、会社やめるの」 「どっ、どうしてですか!」 「私、東京に行くの」 「…」 「彼が東京に転勤になるんだけど、ついていくの」 「…」 「かわい君、聞いてる?」 「…はい」 心なしか、奈々さんの声が沈んでいるように聞こえたのは、気のせいでしょうか? そうか、自分の気持ちが沈んでいるからか…。 「ゆくゆくは、彼と結婚しようと思ってるの」 「…あの、お幸せに」 「ありがとう、ちょっと早いけどね…向こうに行ったら、今の彼よりも、もっと好きな人ができるかもね…アハハ」 「あっ、そうですね。奈々さん、美人だから、きっとモテモテですよ!」 「なに言ってんのよ…」 「あの、来週からボクは、どうすればいいのですか?」 「ああ、来週から○○さんが連絡することになるから、よろしくね」 「じゃあ、あの、来週から、連絡先はM君にしてください」 「ああ、君の紹介料を持っていってくれている子ね。彼ならいいわよ。でも君いいの?紹介料をM君にやっても…」 「いいんです、ボク、M君に下請けに出してましたから…。なんとなく気になっていたから、スッキリしました」 「…そう。かわい君、欲がないね。 会社の経営者になれないよ …アハハ」 「そうですね…エヘヘ」 次の日、いつもどおり、チリ紙交換のバイトに行きました。 「こちらは、チリ紙交換でございます…」 やけくその一日になりました…。 |
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| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|---|
おはようございます。 |
ただチャン 2012/02/09 07:32 |
やぁ〜、奇遇ですね。 |
24moko24 2012/02/09 11:19 |
かわいさんは 欲の無い純真な少年だったんですね。 |
丸み 2012/02/09 12:20 |
こんにちは |
ステップタッチ 2012/02/09 14:06 |
人懐こさとおしゃべりから仕事が舞い込んでくるなんて、すごいじゃないの。 |
mu.choro狸 2012/02/09 14:16 |
いずれにせよ、かわいくんの周りには人が大勢集まるということですね |
ひばり組らん太郎。 2012/02/09 19:40 |
ちりがみ交換のバイトも いろんな逸話がありそうですね。 |
柿ロン 2012/02/09 19:58 |
最初手配師の所を、手品師って読んでた^^; |
りーにん 2012/02/09 21:52 |
こんばんわ、かわいさん。。 |
さすらいの阿呆鳥 2012/02/10 00:35 |
会社の経営者になれるかどうかはともかく菜々さんとのいい思い出が出来たんですね。 |
桃源児 2012/02/10 08:30 |
なるほど、 |
茶々 2012/02/10 15:54 |
岡田奈々=スクールウォーズ…のイメージが自分には。 |
でらドラ 2012/02/10 18:28 |
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かわい 2012/02/11 00:40 |
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かわい 2012/02/11 00:43 |
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かわい 2012/02/11 00:49 |
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かわい 2012/02/11 00:55 |
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かわい 2012/02/11 01:00 |
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かわい 2012/02/11 01:07 |
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