「剣道部顧問R教授」ナイフとフォーク篇

剣道部顧問R教授…約1年ぶりの登場です。

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私は、高専で5年間、剣道部に所属していました。

最初の2年くらいは、真面目な剣道部員。

次の1年半は、やや真面目な剣道部内陸上部・長距離部員?

最後の1年半は、まったく不真面目な剣道部内宴会部・コンパ部員でした。

このお話は、真面目な剣道部員のときのことです。



柔道、空手、剣道…など、日本の武道と呼ばれるものには、『段』や『級』という階級があります。

私も、1年生のときに剣道を始め、そのうちに『有段者』という称号が欲しくてたまらなくなりました。

2年生になり、初めて『昇段試験』というものにチャレンジしました。

ところが、この昇段試験の日程が、困ったちゃんだったのです。



高専は、前期・後期制で、年に4回の定期試験がありました。

前期中間テストは、6月中旬でした。

テスト期間の1週間前に、部活は停止になります。

学生の本分は、勉学にありますので、ある意味、当たり前のことです。

そして、1週間のテスト期間中は、もちろん部活は停止のままです。

つまり、2週間、剣道部員は竹刀を握らないことになります。

月曜日からテストが始まり、土曜日の午前中にテストが終わります。

ヘタヘタの状態で、午後から剣道の練習をします。

そして、翌日の日曜日…昇段試験です。



昇段試験…私が受けたのは、初段でした。

函館市内の某高校が会場だったと思います。

試験内容…省略します。

つまらないからです。

過酷な状況でも、受かるヤツは受かります。

我が剣道部からも数人が、初段や二段に合格しました。

私と、T君、Y君…同じクラスの仲良し3人組…別名3バカトリオ…見事不合格でした。

剣道の防具一式を背負って、3人そろって、トボトボと会場を出た時、後ろから声をかけられました。

「おい、お前たち、昼メシ食ってないだろ!」

振り向くと、いつ会場に来ていたのか、剣道部顧問のR教授でした。

「先生!来てたんですか?」

R教授、この当時、すでに50代半ばくらいだったと思います。

顧問と言っても、めったに練習に顔を出すことはありません。

毎日の練習は、先輩の指導で進められていました。

「私も、まだ食べてないから、ちょっと付き合え!」



私たち4人は、近くにあったレストランに入りました。

快晴の日曜日の午後でした。

『なんちゃらステーキ』とかがメインの店でした。

「お前たち、好きなものを食え!値段は気にするな!」

めったに見せたことがない微笑みでした。

『なんちゃらステーキ』なんて高くてとても、とても…。

メニューの端のほうに、『ハンバーグランチ』がありました。

「ハンバーグランチにします!」

Y君が、最初に叫びました。

「オレも」

「オレも」

私と、T君は、あっさり同意しました。

「オイオイ、もっと高いもの食えや!…まあいいか、じゃあ、ハンバーグランチ4つ!」

結局、R教授も私たちに付き合うことになりました。



そのあと、私たちは、R教授の説教を聞かされました。

合格者と私たち不合格者の間には、どんな違いがあったのか?

ひどく的確に指摘されました。

それを聞かされて、私たちは、なお一層落ち込みました。

「来年も、おそらく今の時期に昇段試験があるぞ!また学校の試験の次の日かも知れないぞ!ふだんからもっと稽古するように!そうすれば、本番でオドオドすることはないぞ!」



私は、R教授の説教を、半分以上落ち着かない状態で聴いていました。

その原因は、途中でテーブルに置かれたナイフとフォークにありました。

でっかい、ナイフとフォーク!

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私が生まれたのは、田舎の漁村でした。

家は、特別、貧乏でも、裕福でもなかったと思います。

でも、ド田舎です。

家庭にあった、ナイフといえば、果物ナイフのことです。

フォークといえば、ツマヨウジを少し大きくしたような、ショートケーキを食べるときに使うような小型のフォークのことです。

どう使えばいいのか?

16歳…まもなく17歳になろうというのに、一度も使ったことがありませんでした。

こんなでっかいナイフとフォークは、テレビドラマの中の上流階級の食卓で使っているのを観た程度です。

もちろん、ハゲ頭の執事は、必需品です。



どう使えばいいんだ?

そのことばかりが気になっていました。

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やがて、鉄板に乗ったハンバーグとお皿に乗ったライス、スープがやってきました。

「いただきま~す!」

私たち3人の声は、自然にそろっていました。

そして私は、いきなりスープに手を付けました。

スープを飲みながら、あとの2人のクラスメートをチラ見です。

さすがに2人は、函館市内の出身です。

ナイフとフォークを上手に使っています。

ふんふん、そうやって使うのか?

見よう見まねで、ハンバーグを食べ始めました。

簡単じゃないの!

ところが、ここで難問!今度はライスです。

何、それ?

2人は、フォークの背にライスを乗せて器用に食べています。

どうすれば、こんな芸当ができるんだ!

私は、真っ青になっていたと思います。



「ははははは…」

突然、R教授が笑い出しました。

「かわい君!ナイフとフォーク、苦手のようだな!」

私は、覚悟を決めました。

「先生、苦手というか…使ったことがないんです」

R教授はニコニコ笑いながら、言いました。

「恐れることはないよ!基本は大切だけど、あとは多少自己流でも、自信を持って…あっ、ちょっとオーバーかな…食べれば、誰もわからないよ!何事も、堂々と振る舞えば、カッコ良く見えるもんだよ!ハッタリもたまには必要なんだよ」

生真面目一方だと思っていたR教授から、ハッタリという意外な言葉を聴きました。

ただ、そのあともR教授は、饒舌になり、とうとうY君からのダメ出しです。

「先生!少し静かにして、食べてください」

「あっ、すまん…」



R教授と楽しく話が出来たのは、この時が初めてでした。

そして、バカ話も言い合えるような仲になりました。



さて、肝心の昇段試験ですが…。

翌年、また同じような設定で行われ、私たち3バカトリオは、同じように不合格になりました。



結局、私は、無段者のまま、剣道部内陸上部・長距離部員へと落ちぶれて行ったのでした…。




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この記事へのコメント

2010年09月24日 06:17
おはようございます
頑張ったのに・・残念。
結局黒帯貰えなかったんですねぇ・・おっと剣道でしたね。そう言えば剣道の有段者って目印とか有りましたっけ??
2010年09月24日 07:06
顧問の先生、お昼をおごってくれのお説教なんて、なかなかシャレたことをしてくれるじゃないですか。
いい青春時代のひとコマですね。
ところで、宴会部・コンパ部員はいいとして、部内陸上部・長距離部員ってどんな役回りなんですか?

2010年09月24日 07:31
おはようございます。
かわいさんは何でもござれのオールマイティの方だったのですね。
改めて、恐れ入りました~!
気を引き締めて、もう一度上からゆっくり読ませていただきます。
2010年09月24日 08:38
おはようございます
いい先生ですね。そういう人ってありがたいですね。
でも、残念でしたね。段があるだけで自慢できるから、できれば初段欲しかったですね。
でも、学校が試験の日程考慮してくれるわけもないし、普段の練習が大事、その通りですし・・・。
2010年09月24日 11:29
いい先生に巡り合えたんですね~
ちょっとうらやましいですね。

フォークの背に乗せるのが面倒で、いまではスプーンのような使い方をするか、
「お箸くださ~い」
が定番になっちゃいました。
若い頃はできなかったな~
2010年09月24日 13:12
なんだか ほのぼのとした ステキな青春ストーリーでTVドラマに成りそうですね。かわいさん役は 中村雅俊? って 最後まで ステキな物語で 次の年は 段位試験に合格したってなると思ったら・・・まぁ 現実は そうは行きませんよね。
私は ナイフとフォークは リカちゃん人形で 小さな頃から 使い慣れたいました。リカちゃんのママは スチュワーデス(フライトアテンダントなんて軟弱な名称はじゃなくて)だったので おままごとのご飯は 洋食オンリーだったんだもん。

私も 茶々さんと同じで 部内陸上部・長距離部員って言う言葉に引っ掛かったままです。もやもやするぅ~
2010年09月24日 13:20
こんにちは

昇段試験は残念でしたが

心のつながりができた先生に出会えたことは本当によかったですね
2010年09月24日 14:01
青春ドラマみたいだね。
いつでもいい先生っているもんだね。生徒は先生を選べないから、ある意味そんな出会いはラッキーだったかもよ。
何も剣道の段持ちじゃなくても生きていってるし、ね。
2010年09月24日 22:34

フォークの背に ゴハンを乗っけて食べる人っている?
正式なマナーなのですか?

堂々と、綺麗に食べる姿の方が、一緒に食事していて、気持ちがイイと、思います。

箸の使い方は、気にしてしまいます・・
2010年09月24日 22:43
級や段をとるより、素敵な先生の一面を見る事が
できた方が格"段"にいいやないっすか(^^)
いい"級"友にも恵まれているみたいやし。

フォークとナイフとはの思い、私も同じっす。
私も田舎もんなもんで^^;
2010年09月24日 22:49
昇段試験の検査官の目はふし穴ですね
2010年09月25日 00:24
ただチャンさん。
う~ん…頑張ったとは言えないかなあ~。
みんなドンくさかったので、こんなもんです。
剣道の有段者…そういえば見分けはつかないですね。
よかった、よかった!

茶々さん。
あとで先生から聞いたはずですが…私たち3人は相当肩が落ちていたようです。
部内陸上部!…これはまた後日ということに…ですね。

うふふさん。
一応、ピンク色でない文章も書けるのですよ。
昨年あたりは、記事の2本に1本は、青春物語でしたよ。
お時間がありましたら、覗いてみてください。
2010年09月25日 00:34
はるばるさん。
そうそう、おっしゃる通りです。
初段は、取りたかったですね。
そして、またまたおっしゃる通りです。
日頃の努力が足りなかったのです…。

こちくんさん。
ホントR先生とは、おっかなくて、それまでは話ができなかったですね。
良いきっかけになりました。
そうそう、お箸ください~になるか、びっくりドンキーでは、最初からお箸しか出てこないですよね。

丸みさん。
いえいえ、中村雅俊なんて…でも俺たちの旅の中村雅俊って、けっこう3枚目でもありましたよね。
おお!リカちゃん人形で特訓?されたのですね。
リカちゃんは和食ではないでしょうからね。
陸上部、モヤモヤ…さて、すぐに解消できるでしょうか?
2010年09月25日 00:46
浅羽由紀さん。
おっしゃる通りですね。
顧問のR教授は、ホントふだんは、めったに部活に顔を出さない方だったのです。
それまで、名前を覚えられていたのも知りませんでした。
心のつながり…ホント大切だと思います。

mu.choro狸さん。
青春ドラマ?…ナイフとフォークがですか。
まあ、たしかに段がなくても、健やかに生きてこられましたね。

ステップタッチさん。
ナイスご指摘ですね。
フォークの背にナイフなんて、今は正式マナーとはいえないようですね。
実際、今は、そんなことしていません。
ですが、当時を思い起こせば、それが普通に、当たり前に行われていたのですよ。
時代を感じます。
2010年09月25日 00:52
りーにんさん。
お~!見事な連発ですね。
本領発揮ですね。
ナイフとフォーク…一時期、結婚式の引き出物とかで、はやりませんでしたか?
今は、実家には、一揃いあるはずです…。
んっ???

柿さん。
たしかに節穴ですね。
初段、欲しかったよ~~~。
2010年09月25日 01:39
ウチにフォークあったかなぁ
ケーキ用のヒメフォークしか思い出せん。
2010年09月25日 06:25
ひばり組らん太郎さん。
へえ~、ケーキ用のフォークって、ヒメフォークっていうんですね。
教えていただき、どうもです。
…で、大きいフォークはあるの?
ウチは、1ヶ月に1度くらい使うことがあるので、あることは確かです。
2010年09月25日 20:30
こんばんわ、かわいさん。。

剣道・・私も小学校の時に少ししていました。
近くの(と言っても田舎なのでバスで行きます)警察で・・
当時からめがねをしていたので、面をかぶると息ですぐに曇る~~~
そんなこんなで途中で挫折しました。。(苦笑)
「段」って響きいいですよね。
そうそう、ナイフにフォークって、なかなか家ではお目にかからへんもんでしたよね。
いつもお箸で食べていましたよ。
そやし、今でもすぐに「すんませ~~ん。お箸ありますか??」って。。(笑)
2010年09月25日 23:38
さすらいの阿呆鳥さん。
おっ!少年剣士だったのですね。
やはり剣道は警察の方が多いですね。
ほほう、メガネをしたまま稽古をしたいたのですか!
そうかあ、私もメガネでやれば段取れたかも?

たしかに今は無理にナイフ・フォークは使わないで、箸をもらいますよね。